Wi-Fi 7は、Wi-Fi 6E に次ぐ次世代のWi-Fi規格であり、IEEE 802.11be とも呼ばれます。2024年中に正式に策定される予定であり、従来のWi-Fi規格と比べて大幅な速度向上、遅延低減、信頼性向上を実現します。
主な特徴
1. 高速化
Wi-Fi 7は、以下の技術により、Wi-Fi 6Eと比べて最大36Gbps(理論値)の高速通信を実現します。
- 320MHz幅のチャネル: 従来の160MHzから2倍に拡大
- 4096QAM: 1024QAMの4倍の情報量を伝送
- マルチリンクオペレーション (MLO): 2.4GHz、5GHz、6GHzの3つの周波数帯を同時に利用
これらの技術により、VR/AR、8K動画ストリーミング、大容量ファイル転送など、より高速なデータ通信が必要となるアプリケーションに最適です。
2. 低遅延
Wi-Fi 7は、マルチリンクオペレーション (MLO) と MLO-FDMA という技術により、従来のWi-Fi規格と比べて大幅に遅延を低減します。
- MLO: 複数の周波数帯を同時に利用することで、最適な経路を選択
- MLO-FDMA: 各デバイスに専用の周波数帯を割り当てることで、干渉を抑制
これらの技術により、オンラインゲーム、VR/AR、遠隔医療など、リアルタイム性が求められるアプリケーションに最適です。
3. 高信頼性
Wi-Fi 7は、6GHz帯の利用 と MLO という技術により、従来のWi-Fi規格と比べてより安定した通信を実現します。
- 6GHz帯: 2.4GHz帯や5GHz帯と比べて干渉が少ない
- MLO: 複数の周波数帯を同時に利用することで、通信の途絶を防止
これらの技術により、スマートファクトリー、自動運転、遠隔操作など、高い信頼性が求められるアプリケーションに最適です。
4. その他の機能
- EHT (Extremely High Throughput): 高密度な環境でも高速な通信を実現
- Multi-AP Coordination: 複数のアクセスポイントを協調させることで、効率的な通信を実現
- Targeted Wake Time (TWT): デバイスの待ち時間を削減することで、省電力化を実現
導入時期
Wi-Fi 7対応のデバイスは、2023年頃から市場に出始め、2024年以降に本格的に普及していく見込みです。
導入メリット
Wi-Fi 7を導入することで、以下のようなメリットを得られます。
- 高速通信による業務効率化
- 低遅延によるリアルタイム性の向上
- 高信頼性による安定稼働
- 省電力化による環境負荷軽減
導入時の注意点
Wi-Fi 7を導入するには、以下の点に注意する必要があります。
適用例
Wi-Fi 7は、以下のような様々な分野で活用が期待されています。
- 家庭: 8K動画ストリーミング、VR/ARゲーム、オンラインゲーム
- オフィス: 高速ファイル転送、Web会議、クラウドサービス
- 工場: スマートファクトリー、自動化、IoT
- 医療: 遠隔医療、手術支援、ロボット手術
- 教育: オンライン授業、VR/AR教材、遠隔教育
- 公共: スマートシティ、交通インフラ、災害対策
今後の展望
Wi-Fi 7は、今後も進化していくことが期待されています。
- さらなる高速化: 40Gbps、50Gbps以上の通信速度を目指す
- 低遅延化: 1ms以下の低遅延を目指
- 信頼性向上: 99.999%以上の可用性を目指
- セキュリティ強化: 最新のセキュリティ規格に対応
Wi-Fi 7は、私たちの生活や社会を大きく変革する可能性を秘めた技術です。